「なにくそ! 今に見とれよ!」がお気に入りの言葉。

19歳の時、裸一貫でアメリカへ飛び出し、
当時移民としては珍しい成功者となった
吉田潤喜社長の物語が堪能できる一冊。

「芸は身を助く」
「一芸に秀でろ」と言うが、
“空手”が彼のビジネスを飛躍へと導くきっかけを作った。

クリスマスのお返しができなくて悩んだ際、
たまたま作ったお袋直伝の韓国風テリヤキソースが
空手の生徒に好評を得て、
経営者として出発を決意する。
さまざまな人たちに助けられて今日まできた著者は言う、
「成功は金ではない!」と。

資産何百億を持った今でも謙虚な姿勢を失わないのは、
在日韓国人2世でもアメリカで活躍できることを許す、
アメリカという寛大な国家を尊敬するからであろう。

そしてまた彼は企業は
社員を食わせるためにあるものだと言う。
株主主体のアメリカ企業において
彼の考え方は極めて日本的だ。
晴れてアメリカ人になれた(市民権を得た)と喜ぶ半面、
日本人としての風土や習慣を大切にする彼の姿勢に、
日本人の私は感慨を覚える。

韓国人の血が流れ、日本で育ち、
アメリカへ移民し、アメリカ人になる。

もしかすると彼は自身を
“地球人”としてとらえているのではないか、
人権差別撤廃のボランティアを主催する一面から想像してしまう。
「同じ地球にいる者同士、なんぼのものやねん」
私にはそう思えてなりません。

最後に日本のくすぶっている若者に向けてエールを送っている。

「日本を脱出して外の世界に行ってみい、何か変わるで」

自分の若い頃を思い出し、
日本の若者に期待する熱い視線が見て取れる。
若者は是非海外旅行からでもいいので日本を出てみたら?

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