「激流のニジマスと淀みのニジマス」の話

ニジマスの餌は水生昆虫や小形の魚です。
川の中流付近に棲むニジマスは
上流から餌が流されてきて
さぞかし体長が大きいだろうと思われるが、
実際はそうではないらしい。
逆に淀みの中に棲むニジマスは
餌が少ないのにも関わらず
中流より大きく育つ。

なぜなら中流の流れは激しい。
そこに留まって生きるために
その激流に逆らうためのものすごいエネルギーを消耗するため
体が小さく筋肉質になるからだ。

これは“ひろさちや”さんの
『仏教に学ぶ「がんばらない思想」』という本に書いてありました。

「日本人は激流のニジマスになっていないか?」

どちらのニジマスでも生きていることには変わりない。
どちらがイイとも断言しない。

ここで問題視したいのは
『どっちの生き方でもイイではないか』ということ。

でも日本では激流で生きなくては日本人ではない。
人として失格だという風潮がある。

その証拠となるのが
日本人の大好きな言葉
「がんばれ」だ。
ことあるごとに言いまくる。

登山を楽しむために数名の仲間が登山した。
途中、仲間の1人が体調を崩し下山しようと言う。
それを聞いてみんな
「もう少しで頂上だ。あと少しだから頑張れ!!」

どうしてがんばらないといけないの?
誰だって体調が悪くなったら下山したいって。
登山を“楽しむ”ために登っているんでしょ?
なぜ頂上まで辿り着かなくてはいけないの?
頂上まで行きたいのなら
ロープウェイでも車でも使って行けばいいではないか?
だいたい山登りはいつでもできることではないか。
山はそこから動かないからね。

『あくせく頑張って何になる!?』

身体を壊し、人間性を失い、家族・家庭を見捨て、仕事(金稼ぎ)に打ち込む。

「何でみんなお金のためにそこまで犠牲にするのかな?」

「人生の幸せってお金のこと?」
「お金で買える幸せって何?」

この生き方への弊害は
もう顕著に出始めている。

・うつ・ひきこもり
・離婚率の増加・晩婚化・少子化
・犯罪率の上昇(犯罪の凶悪化・低年齢化・女性犯罪者の増加・DV)
・いじめ・不登校・自殺
・売春婦の増加・援助交際
・未成年の飲酒、タバコ、麻薬

「どうしたら日本人は“気づく”ことができるのだろうか?」

際限なく続く経済競争の果てに
身も心もボロボロになって
打ち捨てられていく。

「いいじゃないか? 怠け者がいたって」
「怠けたってイイ!!」
「がんばらなくってもイイ!!」

「貧乏でいいじゃないか!?」
『貧しいけれども楽しい我が家』という言葉もある。

もう一度立ち止まって考えようよ。
仕事で金稼ぎは何のためにしているのかを。

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