家族という十字架を抱きしめて。

『手紙』という邦画を観た。

弟想いの兄が金目当てに
強盗殺人を犯してしまう。
服役中のそんな兄と主人公である弟が、
文通で交流をしている。
殺人者の家族ということで
何かと世間からの嫌がらせを受け、
大学進学をあきらめ、
職を転々としている毎日だ。
情熱を傾けて頑張る
「お笑い」の世界で登りつめるが、
兄が殺人者という事実が起因し
夢半ばにして挫折する。
好きだった女性とも互いの意思を確認できないまま破局する。
彼の数少ない理解者の一人と結婚し娘を儲けるが、
その娘も仲間はずれにされてしまう。

「全部兄貴のせいだ!」

弟は絶縁の手紙を出し、
殺された被害者の家族と会って許しを請う。
6年間毎月欠かさず兄から届く手紙を
持ち出した被害者の息子は、
兄からの最後の手紙に
「私の存在がある限り罪はなくならない」
という文を読み、

「手紙は彼にとっての“般若心経”なんだ」
「もうこれで忘れよう許そうと思う」

弟もまたたった一人の肉親である兄を見捨てることができず、
長いこと面会していない兄のために
刑務所に出向いて慰安で「お笑い芸」を披露する。
弟に許された兄は手を合わせ感涙する。

家族とは自分の十字架です。
血縁は偶然ではなく魂の約束なのです。
家族を通して魂を磨き合おうと誓いあったのです。

『十字架を手放すな、逃げるな、拒絶するな!!』

イエスは十字架を決して手放さず、
それから逃げもしなかった。
自分の未来に《磔刑》という
侮辱と苦痛が待ち構えていることを知りながら。

作家の安部譲二さんの母は
刑務所に入っている息子に言います。
「あなたがここに入ったおかげで、
私はこのような世界を学ばせて頂いたんだよ」
これを聞いた安部さんはヤクザから足を洗う決心をしたそうな。

犯罪者を持つ家族の皆さん、
同じ血のつながった家族をどうか見捨てないで下さい。
罪とは何か、罰とはどんなことなのか、
真摯に考えるきっかけを与えてくれたじゃありませんか?

法を犯した罪人。
壁に仕切られ社会から隔離された牢獄。
もう消し去ることのできない罪の刻印。

僕らの中で果たして
罪を糾弾する資格を持つ者がどれだけいるのかな?
あのイエスでさえも罪を定めなかったほどなのに。

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