4月 102015
 

数学が分かる人には衝撃的な偉業らしい。
(私にはさっぱり分かりませんが)

国営ロシア通信によると、米クレイ数学研究所は、数学上の未解決問題だった「ポアンカレ予想」をロシア人数学者、グリゴリー・ペレリマン氏(43)が証明したと認定した。同研究所は2000年、ポアンカレ予想など7つの難題を「ミレニアム問題」として発表、各問題に100万ドル(約9千万円)の賞金をかけているが、同氏は賞に関心を示さぬ孤高の天才として知られ、「受賞を承諾するかは不明」(国営ロシアテレビ)という。

ポアンカレ予想とは、仏の数学者、アンリ・ポアンカレ(1854~1912)が1904年に提示した、位相幾何学(トポロジー)に関する予想。

クレイ研究所のカールソン所長は、公式サイトで「ほぼ1世紀にわたり続いたポアンカレ予想の解法の探求は、ペレリマン氏の証明により終了した。数学史上、著しい進歩で、長く人々の記憶にとどまるだろう」と述べた。7つのミレニアム問題のうち証明が認定されたのは初めて。

ペレリマン氏は2002年、ポアンカレ予想を証明したとする論文をインターネット上に公表、他の数学者が検証を続けてきた。同氏は06年、その証明に多大な貢献をしたとして「数学のノーベル賞」と呼ばれるフィールズ賞に選ばれたが、受賞を辞退していた。

ペレリマン氏は1966年、旧ソ連レニングラード(現サンクトペテルブルク)生まれのユダヤ系ロシア人。大学卒業後、米国で研究生活をへて地元の研究所に職を得たが、05年に退職。以来、故郷で母親との“隠とん生活”に入り、人前に姿を見せなくなった。

欧米では、氏に関する著書がしばしば刊行されるなど注目を集めている。

●WIKIから。

(3次元)ポアンカレ予想(Poincareacute; conjecture)とは、
数学(位相幾何学)における有名な予想のひとつ。

☆概要

単連結な3次元閉多様体は3次元球面S3に同相である。
という予想であり、1904年にフランスの数学者アンリ・ポアンカレによって提出された。以来ほぼ100年にわたり未解決だったが、2002年から2003年に掛けてロシア人数学者グリゴリー・ペレルマンはこれを証明したとする複数の論文をarXivに掲載した。これらの論文について2006年の夏頃まで複数の数学者チームによる検証が行われた結果、現在では彼が実際に証明に成功したと考えられている。ペレルマンはこの業績によって2006年のフィールズ賞を受賞した(ただし本人は受賞を辞退した)。

☆一般化された問題

ポアンカレ予想は一般化(高次元に拡張)できる。それは次のようなものである。

「n次元ホモトピー球面はn次元球面に同相である」

このようにポアンカレ予想をn次元に一般化するとn=2での成立は古典的な事実であり、n>4の場合は既に証明が得られている。n>5の時はスティーヴン・スメイルによって(1960年)、n=4の時はマイケル・フリードマンによって(1981年)証明された。両人とも、その業績からフィールズ賞を受賞している。スメイルの証明は微分位相幾何学的なものであったが、フリードマンの証明は純粋に位相幾何学的なものである。実際、フリードマンの結果はその直後にドナルドソンによる異種4次元ユークリッド空間(位相的には通常の4次元空間だが、微分構造が異なるもの)の発見へとつながった。以上よりオリジナルである3次元ポアンカレ予想のみを残し、高次元ポアンカレ予想は先に決着してしまった(もっとも、微分同相については4次元ポアンカレ予想も未解決と言われる)。

『数学的に厳密ではないが、たとえて言えば、宇宙の中の任意の一点から長いロープを結んだロケットが宇宙を一周して戻ってきて、ロープの両端を引っ張ってロープを全て回収できた場合、宇宙の形は概ね球体(=ドーナツ型のような穴のある形、ではない)と言えるのか、という問題である』

☆3次元ポアンカレ予想と幾何化予想

3次元ポアンカレ予想についてウィリアム・サーストンの幾何化予想(サーストンのプログラム)があり、これは3次元多様体の分類に関するものである。この予想は3次元ポアンカレ予想を含み、大変壮大なものである。

☆幾何化予想とペレルマン

2002年から2003年にかけて当時ステクロフ数学研究所に勤務していたロシア人数学者グリゴリー・ペレルマンはポアンカレ予想を証明したと主張し、論文をプレプリント投稿サイトとして著名なarXivにて公表した。その中で彼はリチャード・ストレイト・ハミルトンが創始したリッチフロー(Ricci flow)の理論に「手術」と呼ぶ新たな手法を付け加えて拡張し、驚くべきことにサーストンの幾何化予想を解決してその系としてポアンカレ予想を解決した(と宣言した)。
非常に単純に言えば、幾何化予想とは、多様体を8つのピースに分割し、そのピース毎に幾何的性質を調べるというものである。一方で、リッチフローを用いたときに、ピースから全体を構成しなおすときに特異点が発生する可能性がある。ペレルマンはこの特異点の発生条件と特異点の性質を調べ、特異点が発生しないような手法を考えた。それが「手術」といわれる方法である。
それ以来ペレルマン論文に対する検証が複数の数学者チームによって試みられた。原論文が理論的に難解でありかつ細部を省略していたため検証作業は難航したが、2006年5~7月にかけて3つの数学者チームによる報告論文が出揃った。

ブルース・クライナーとジョン・ロット
“Notes on Perelman’s Papers”(2006年5月):ペレルマンによる幾何化予想についての証明の細部を解明・補足

朱熹平(広東・中山大学)と曹懐東(米ペンシルベニア州リーハイ大学)
“A Complete Proof of the Poincaré and Geometrization Conjectures – application of the Hamilton-Perelman theory of the Ricci flow”(2006年7月、改訂版2006年12月):ハミルトンとペレルマンによる幾何化予想とポアンカレ予想の証明について

ジョン・モーガンと田剛
“Ricci Flow and the Poincaré Conjecture”(2006年7月):ペレルマン論文をポアンカレ予想に関わる部分のみに絞って詳細に解明・補足

これらのチームは何れもペレルマン論文は基本的に正しく致命的誤りは無かったこと、また細部のギャップについてもペレルマンの手法によって修正可能であったという結論で一致した。これらのことから、現在では少なくともポアンカレ予想についてはペレルマンにより解決されたと考えられている。
殆どの数学者がトポロジーを使ってポアンカレ予想を解こうとしたのに対し、ペレルマンは微分幾何学と物理学の手法を使って解いてみせた。そのため、解の説明を求められてアメリカの壇上に立ったペレルマンの解説を聞いた数学者達は、「まず、ポアンカレ予想を解かれた事に落胆し、それがトポロジーではなく微分幾何学を使って解かれた事に落胆し、そして、その解の解説が全く理解できない事に落胆した」という。[1]なお、証明には熱量・エントロピーなどの物理的な用語が登場する。
2006年8月22日、スペインのマドリードで催された国際数学者会議の開会式においてペレルマンに対しフィールズ賞が授与された。ただし、本人はこれを辞退した。その直前にステクロフ数学研究所を退職しており、その後は無職の状態である。人付き合いを嫌い、サンクトペテルブルグの実家で僅かな貯金と母親の年金で生活していると言われる。
2006年12月22日、アメリカの科学誌「サイエンス」で科学的成果の年間トップ10が発表され、その第1位に「ポアンカレ予想の解決」が選ばれた[2][3]。

米クレイ数学研究所(CMI)はポアンカレ予想をミレニアム懸賞問題の一つに指定し、証明した者に100万ドル(約9000万円)の賞金を与えると発表している。ここでペレルマンが本賞を受賞するのかどうかが一部の関心を呼んでいる。ただし、彼は賞金を受け取る条件である「査読つき専門雑誌への掲載」をしておらずまた彼の証明はあくまでも要領を発表したに過ぎないという説もあり、賞金を手にするとは限らない(ペレルマン自身が賞金に興味を示していないとも噂される)。
この件に関し、CMI代表のジェームズ・カールソン(James Carlson)は次のように述べている。
CMIの規定では受賞資格者は必ずしも専門誌に掲載された論文の直接的な執筆者に限られる訳ではない。ペレルマンが変則的な発表手段を採り、arXivへの掲載のみに留めて専門誌に投稿していないというそのこと自体は、彼が受賞する上での障害とはならない。CMIは何れにしてもあらゆる素材を吟味して証明の成否を判定し、然る後初めて授賞を検討するようである。
2010年3月18日、クレイ数学研究所はペレルマンへのミレニアム賞授賞を発表した[4]。現時点ではペレルマンがこれを受けるかどうかは不明。これに関してペレルマンは以前、同賞を「受けるかどうかは、授賞を伝えられてから考える」と述べている。

<参考文献>
解決!ポアンカレ予想 (雑誌『数学セミナー』増刊、日本評論社、2007年1月)
ドナル・オシア『ポアンカレ予想を解いた数学者』糸川洋訳、日経BP社、2007年6月。
ジョージ・G・スピーロ『ポアンカレ予想』永瀬輝男・志摩亜希子監修、鍛原多恵子・坂井星之・塩原通緒・松井信彦訳、早川書房、2007年12月。